2008年07月14日

貴族主義的ネットワーク  べき乗の法則。


お前正直な話 率直に言って日本の現状をどう思う?

俺はこれは憂うべき状況とは全然考えないけれども、

かといって素晴らしいとは絶対に思わねえな俺は。


……もっと力強い生活をこの手に!


エレファントカシマシ 「ガストロンジャー」




なぜお金持ちはますますお金持ちになっていくのか?

何故人気のあるお店はますます人気になっていくのか?

答えは簡単だ。

お金がお金を生むから。そして噂が噂を呼ぶ。

これはダンカン・ワッツとスティーブン・ストロガッツらが先陣を切った、

複雑系ネットワークの科学のなかの法則にみられる現象でもある。

いわゆるスモールワールドネットワークである、

「貴族主義ネットワーク」の構造がもたらすものである。

お金、情報は人(ノード)から人(ノード)に流れるときに、

その流れる量に上限がなく、

またそのつながっているリンクの数(手の数、または関係者の数)にも

上限がない。(注:人は法人も含む)

このようなスケール・フリーのネットワークを「貴族主義ネットワーク」と呼ぶのだ。

お金の流れかたがこの貴族主義ネットワークの上であるため、

お金持ちはさらにお金持ちに、人気のあるものはさらに人気になるのだ。

格差はさらに広がる。




俺が生まれたのはそう所謂高度経済成長の真っ只中で、

それは日本が敗戦に象徴される黒船以降の欧米に対する

鬱屈したコンプレックスを一気に解消すべく、

我々の上の世代の人間が神風のように猛然と追い続けた、

繁栄という名の、そう繁栄という名の、繁栄という名のテーマであった。


エレファントカシマシ 「ガストロンジャー」






なぜお金がお金を生むのか?

それはずばり「利子(金利)」であると考える。

これがお金がお金を生むということだ。


アルバート=ラズロ・バラバシとレカ・アルバートという科学者は

この金持ちほどますます豊かになる法則を詳しく調べた。

実際はコンピュータによるグラフのシミュレーションであったが、

そこには自然界のあらゆる場面に当てはまる、法則があった。

リンク数による要素の分布を調べると、そこには明白な「べき乗の法則」があった。

リンクの数と、その要素(ノード)数の対数をプロットすると、ほぼ直線になる。

例えばリンクの数が4つである要素が80万個あるとすると、

リンクの数が8つである要素は10万個

16である要素はその8分の一、みたいな感じである。




"くだらねえ世の中" "くだらねえ俺達"

そんなのお前百年前から誰でも言ってるよ。お前変わんねえんだよそれ、

お前縄文時代から変わんねえんだよお前それ。

それ縄文時代から現代まで変わってねえんだよお前それは…。


エレファントカシマシ 「ガストロンジャー」



この「金持ちほどますます豊かに」の貴族主義的ネットワークはどこにでも見られる。

そして、ささいな条件の変化でにはその出来方にはびくともしない。

一見、全く別の形に見えるものでも、ほとんど同じ「法則」に従っていて、その性質が変わらない。

一番たくさんのリンクを持つ者が、王者となる。その場所に全てが集まってくる。


アメリカだろうが、アラブだろうが、「世界」だろうがどこでも、

切り取って考える場所が大きかろうが小さかろうが、

その考えている中で一番リンクの多い者が王者となる。

それがスケール・フリーのべき乗の法則なのだ。


お金だけではない。この世の少なくないもの(ほとんどといっていい)が、

貴族主義ネットワークを形成している。

現代の例ならば、「情報」「知名度」はどれも一局に集中するのだ。

G○○○le(著名検索サイト)がここまで著名になったのも、もともとは

検索で「知名度」の高いものから検索される「Page Rank」のおかげだという。

さらに知名度の高いウェブは検索され、ますます知名度が高くなる。

ウェブの中では、知名度が知名度をよぶ。



「歴史」や「過去の事件」についても然りである。

この世に伝わる「歴史」には、貴族主義的ネットワークが見え隠れする。

有名な歴史・事件ほど、たくさんの解釈・様々な仮説がつく。

もともとの出来事(ルートノード)から離れた仮説(リーフノード)を

詳しく調べたところで、もともとの出来事は当事者でない限り

知るはずもない。



「トム・ソーヤの冒険」を書いたマーク・トウェインはこう語る。

何人もの注釈者があれこれ調べたおかげで、
この問題はすでに相当曖昧にされてしまっている。
さらに続ければ、何もわからなくなってしまうのは時間の問題だろう。





この世のなかで、お金持ちほどますますお金持ちになるのは

どうしても避けがたい事実なのだ。

格差はそのままではどんどん拡大してゆく。



普通は行政での「税金」がそれを抑制する力となる。

いわゆる累進課税がその例だ。

消費税では格差の拡大を抑制できない(たぶん)。


いまはお金持ち(経済界)と政治が手を組んでいるのかどうかは知らないが、

貧乏人が搾取されている。政治がうまく機能していない。

そしてその事実(貧乏人が搾取されている)が正しいのかどうかは、

今の時代を見れば明らかなのではないか。





……ただなあ お前、破壊されんだよ 駄目な物は いずれ。

エレファントカシマシ 「ガストロンジャー」






(参考文献・マーク・ブキャナン「複雑な世界、単純な法則」)
posted by フェイサン at 00:37| Comment(0) | TrackBack(2) | 哲学と生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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