2008年09月28日

王様

確かに何かがいる。

人に「かくあらねばならない」と思いこましている何者かが。

それは人々の間に入り込み、いつのまにか世界を軋ましている。


霧間誠一





昔々あるところに、豪華な服を着て、

町をパレードするのが好きな王様がいた。


ある日、王様の前に「詐欺師の仕立て屋」が現れた。

仕立て屋はこんな感じのことを言った。

「王様にぴったりの服を用意しました。

これは愚か者には見えず、賢いものだけが見える、

素晴らしい色合いの豪華な服です。

ただし、これほどの珍しい服は他になく、とても高いものですから、

お大臣さまともよくご相談なさってから

ご購入することをお勧めいたしますよ。」



もちろん王様には見えなかったが、

見えないとは口が裂けてもいえない為、

見える振りをして家来に相談した。

「この豪華な服を買おうと思うのだが、いかんせん高い。

そなたらの意見を聞きたい。

この服は高い値段で買うに値するものだろうか?」




もちろん家来たちにも見えなかったが、

見えないとは口が裂けてもいえない為、

見える振りをした。

見えないことを微塵も感じさせなかった。

また見えないと叫ぶ者に対しては

この服を口実に失脚させ、自分がのし上がる手段とした。

「とても素晴らしい服です。

これほどまでに王様にあう服はございません。

いますぐに購入することをおすすめします。

また、○○がその服は見えないと陰で申しておりました。

そのような者は王様の側近としてふさわしくありません。

いますぐに解任することを提案いたします。」

(中略)

posted by フェイサン at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学と生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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