2008年01月11日

マクスウェルのデーモンの贋金つくり

マクスウェルのデーモン、それは熱力学の中での

「第二法則(閉じた系でのエントロピー増大の法則)」

を打ち破るといわれる存在である。


マクスウェルのデーモンのような存在がいれば、

もしくはそのような装置が作ることができるなら、

人間は何もないところ(一様な空間)から

熱(エネルギー)を取り出す事ができるといわれている。

つまり、このような存在を世に現存させることができれば、

永久機関を作り出すことができるといわれるのだ。

しかし、今のところこのデーモンは地球上(現実世界)には存在していないようだ。

さらに、本質的にはこのデーモンでさえも、

量子力学の不確定性原理によって、

永久機関を作り出すことができないとされている。

詳しくは略。



マクスウェルのデーモンはなかなかに利口な悪魔だ。

人間にはできないことがそこそこ簡単にできる。
(そういう存在として考え出された)


さて、
経済に関するデーモンの「行為」がその経済系に影響を与える、

という問題(思考実験?)がある。



あるとき、マクスウェルのデーモンは、

この世にある「価値のあるもの」で、



入手できるもの全てが欲しいと思った。



どうすれば一番「利口的」に全てを入手できるのだろうか。


デーモンはこう思った。

「本物(紙幣)」とほとんど区別できない「ニセ金(紙幣)」を

必要なだけ造り、それで全てを買おう、と。

「本物」と同じ紙、同じインク、その他同じ材料を使い、

「本物」とできる限り同じ量になる分だけ、

同じ形になるように印刷または加工する。

「本物」をつくっている者がすることと同じことをして、

「贋金」を作る。




ほとんど「本物を作ること」をしているといっていい。

しかし、ことの本質は別のところにある。それは次のことである。

「デモンの贋金つくりは経済上の永久機関である。」

つまり、なにもないところから(もしくは低コストで)

現金=エネルギーをつくりだす。


マクスウェルのデーモンはそのエネルギー(お金)を

利用することができる。

マクスウェルのデーモンのその行為が犯罪であるかどうかは

全く問題にしない。


この本質は「倫理の問題」とは関係していないのだ。



一見、デーモンは「すべてのもの」を買うことができるように見える。



しかし、ここでもやはり失敗に終わる運命にある。



世界にある「価値」を、流通しているお金も含めて、

例えば1000兆ドルあったとする(適当)。

もし全てを買うことができたならば、

世界にある「価値」は二倍近くになるのだろうか。

デーモンはその全てを一つずつ「贋金」で買う。


例えば世界の土地すべてを買ってみる。

最初の方は順調に買うことができる。

しかし贋金が出回ることで通貨の供給が増加し、

世界は急激なインフレーションに陥るだろう。

なぜならば流通している「お金の価値」が相対的にさがるからだ。


土地の価格が急騰し、デ-モンはより贋金を消費しなければならない。

贋金を使えば使うほど、価格上昇もそれに追従する。

デーモンがすべての土地・財貨を手に入れるずっと前に、

贋金はそこをついてしまう。


例えばその時点で

全部で1000兆ドル(適当)であった「世界の全ての価値」は、

デーモンが1000兆ドル払い、その贋金を流通させた後では

その「世界の全ての価値」は2000兆ドル(適当)になる。

1000兆ドル払ったあとでは、

「全て」がデーモンのものには、決してならない。

およそ半分しか、手に入らない。



底をついたとき、デーモンは更に贋金を作ろうと思うだろう。

途中までは成功していたのだから、

今後も同じ様にお金を作ればいつかは全てを買うことができる…。


しかしお金を作れば作るほど、通貨の価値がさがり、

インフレーションで際限なく物価は上昇する。

やがて、今まで無視できていた

「贋金(例えば100ドル札)を作るときの紙とインク代などの製造原価」が

その贋金を作った時の価値を逆転してしまう。

インフレで紙とインクが高くなり、

それだけで200ドルくらいかかるようになったとする。

200ドルの費用で100ドルの偽札を作ると損をする。


今まで無限に「価値のあるもの」を作れると思っていたのに

作ればつくるほどに価値がなくなっていく。

仕事をすればするほど赤字になる、というような感じだ。

実際には100ドル札を作るのに必要な費用が100ドル以上になることはない。

その費用が100ドルに近づけば近づくほど、買えるものは少なくなってゆく。

これではいくら「お金」を作ることができようとも、

「世界の全て」を手に入れることはできない。






…結局、マクスウェルのデーモンは

熱力学の世界においても、経済世界においても、

際限なくエネルギーを作る、つまり無から有を作りだすことが

できなかった。

(参考文献・ライフゲイムの宇宙)






どうでもいいことだが、世界各国の通貨を発行する機関は事実上、

「本物」を作製することができる存在である。

ただし、「製造」はせず、「発行」するだけなのだろう。

もし、日本銀行が日本の借金を返すため、

むやみに「本物」を「製造」してこれを借金返済にあてたら、

日本はどうなってしまうのか。
posted by フェイサン at 02:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 哲学と生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: てぃん★てぃんシゴきまくってもらって5諭吉くれるってどんだけww パチ屋行く前の軍資金集めの定番になってしまったw
Weblog: ドンパッチ
Tracked: 2008-02-16 16:06
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